「不妊ルーム」物語

No.8 「漢方薬は効きますか?」

 いろいろな方から、「漢方薬は効きますか?」という質問を受けます。この質問に対する答えは、「効く人には、とても効果があります。」ということになります。文章で説明してもわかりづらいので、実際に漢方薬が効いた方の例を基礎体温表とともに説明しましょう。

Aさん 34歳 不妊治療歴:なし

Aさんは1年2ヶ月という異例の長期間フォローアップした印象深い方です。彼女は、インターネットなどで、不妊治療でアンハッピーになることも多いことを知り、まだ不妊治療には踏み切れないということで、2000年の6月にカウンセリングにみえました。彼女がいうには、「子どもがほしいのも事実ですが、私は大変な冷え性で、ずっと基礎体温をつけているけれども、36.4度を超えることは、めったにありません。まず、これを何とかしてほしい。」ということでした。そのことは、彼女が持参した基礎体温表がはっきりと物語っています(図1をクリック)。ご覧のように一層性の無排卵を示す基礎体温です。最初に行った採血でも、LH>FSHで、PCOS(「はからめ通信」4号◆黄体機能不全と多嚢性卵巣症候群(PCOS)を参照してください)などの排卵障害を裏付けていました。

 それで、私はAさんに当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)という漢方薬を服用してもらいました。赤いラインマーカーのところが、当帰芍薬散の服用期間です。私自身も驚いたのですが、この漢方薬だけでドラマチックに基礎体温が改善し、きれいな2層性となりました(図2をクリック)。また、ホルモンの値もLH<FSHと、改善してきました。そして、次の周期には弱いながらも、妊娠反応が陽性となりました。残念ながら、そのあとにすぐに生理が来てしまい初期流産ということになりましたが、それからは基礎体温も安定してきました。

 しかしながら、基礎体温が安定してからも、なかなか次のコウノトリは、Aさんのところになかなか舞い降りてきませんでした。私はフォローアップは6ヶ月をめどとしていますので、彼女にステップアップをすすめるべく、次のようにアドバイスしました。「基礎体温も2層性になり、時間もかなり経過したことだから、本格的な不妊治療を行ってはどうか?」しかし、彼女側にも事情がありました。彼女はIT関連会社に勤めるコンピュータのプロフェッショナルで 、来院はいつも夜間診療を行っている木曜日の診療終了ぎりぎりでした。「ここへこれなくなることは、治療をうち切ることと同じです。どうか見捨てないでください。」と、懇願されてしまいました。それで、それからも私がフォローアップすることになりました。

 その後、漢方薬を温経湯(ウンケイトウ)に変更したのが奏功したのか、しばらくして妊娠反応が陽性となりました(図3をクリック)。そして、産婦人科の先生に妊娠を確認していただきました。

 余談ながら、IT音痴の私は、彼女によく助けてもらいました。あるとき、自分のパソコンがよくフリーズすることを愚痴ると、彼女曰く、「私たちが家で使うパソコンは、所詮端末ですから!」。この一言は、私にとって、「目から鱗」でした。それからは、気が楽になったというか、コンピュータコンプレックスから、解放されたように感じました。

なお、漢方薬のことについては、(「はからめ通信」6号◆不妊症と漢方薬)も参照してください。

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