「不妊ルーム」物語

No.2 「不妊ルーム」の最近の妊娠例から

 1月(すなわち21世紀)に入って、ぽんぽんと妊娠がされた人が2例続きました。わざわざここで取り上げるのは、このお2人がともに、最近まで不妊治療医のもとで、体外受精を受けても妊娠に至らなかったからです。体外受精はいうまでもなく、タイミング法人工授精→のあとにくる治療です。それぞれの方の、これまでの経過を振り返ってみます。

 最初に妊娠された方は、不妊治療の経過を克明にテーブル(表)にして、持参されました。それによると、1998年の6月から2000年の11月まで、タイミング法に始まり、AIHを7回おこなっても妊娠しないため、昨年の暮れに1度体外受精をおこないました。それでも、妊娠には至らず、「不妊ルーム」のカウンセリングにみえました。私は彼女にこれまでのことは1度忘れて、頭の中のホワイトボードの書き込みを消して、一度真っ白にしましょうとアドバイスしました。そして、「不妊ルーム」で指導しているタイミング法から始めることにしました。そして、カウンセリングの1ヶ月後に妊娠が確認されました。

 もう一人の方は、5,6年前に1度子宮卵管造影検査で、片方の卵管が閉塞し、もう片方も通りが悪いと指摘されていました。そして、自分は両方の卵管に問題があるから妊娠できないと、信じ込んでいました。それで、昨年不妊治療を受けるべく医療機関に相談したそうです。残念なことに、不妊治療を受けることになった医療機関は、体外受精はできても子宮卵管造影をおこなう設備はありませんでした。彼女は、そこで体外受精を4回おこなったのですが、妊娠にはいたりませんでした。そして、「不妊ルーム」へカウンセリングに来られました。私は彼女に本当に卵管が閉塞しているかどうか再度確認する必要があるので、もう一度卵管造影をおこなうようアドバイスしました。それで、子宮卵管造影をおこなったところ、両方の卵管の通過性が確認されました。そこで、タイミング法から始めましたが、2ヶ月後に妊娠に至りました。

 私は、正直なところこのお二人が、「不妊ルーム」でこんなに早く妊娠に至るとは思っていませんでした。むしろ、彼女たちには、不妊治療の過程で、傷ついた羽を休めて、もう一度飛ぶまでの、癒しの場になればと思っていました。不妊治療は多くの場合、患者さんに大きな精神的なストレスを与えるからです。私の周りにも、不妊治療をやめたら、妊娠したという方がたくさんおられますし、不妊の雑誌でも、そういうコーナーが設けられてもいます。女性の排卵や、生理周期はストレスと密接に関連しています。患者さんとドクターの波長が合わなかった場合、不妊治療はしばしばネガティブな影響を与えます。このことは、不妊治療をこれから受けようと思っている方は、事前に知っておく必要があると思います。

 最近、メールの相談でも、「体外受精をすすめられていますが、迷っています。」と言う相談をよく受けます。私にセカンドオピニオンを求めてこられるわけです。最近の傾向として、驚くほどの、短期間のうちに、体外受精へのステップアップをすすめられる例が目に付きます。ご存じの方もあるかと思いますが、第1子を体外受精で得た女性の2割が、第2子を自然妊娠していることが、追跡調査でわかり、議論を呼んでいます。この事実は、第1子の妊娠に、本当に体外受精が必要だったのかという疑問を投げかけます。こうした流れの中で、体外受精の実施をより慎重におこなうべく、新たなガイドラインの作成が準備中です。(つづく)

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