「不妊ルーム」紹介記事
●不妊治療のホームページを開いたことで
 ニュージーランドに住む日本人から相談のメールが

--:どういったスタンスで不妊の相談にあたられているのですか?

放生:私は内科医ですから不妊治療には大きく踏み込まないのです。けれども、私も患者としての経験者ですから、内科のクリニックとは別に、自分の体験に基づき目線を患者さんと同じにして相談にのれるのではないかと思っています。あくまでも社会の役に立ちたいという気持ちがあるわけです。

--:あのホームページ(注:不妊ルームのこと)は、同じ悩みを持ってらっしゃる方にはすごく安らぐ、あれを読んだだけでも、心がいやされるというか、そういう感じがあるみたいですね。

放生:そうですか。実際僕にはフラストレーションというか、この「こまえクリニック」で不妊相談をやるということにジレンマがありました。知っていただきたいという気持ちと、大っぴらにはできないという気持ちのジレンマがあるわけです。ここで不妊相談をやっているということを自然に知ってもらう一つの手段がインターネットだと思ったのです。

 最初、「こまえクリニックホームページ」というのを去年の暮れに作ったのです。もちろんこまえクリニック全体のホームページだったのですけど、その中の一つとして「不妊でお悩みの方に」という項目を入れたのです。しかし、内科と不妊という全然別々のものが一つのホームページの中に収まっているというのも変な話だと思いました。実際に何人か不妊相談があったりしたものですから、それだったらと分離し、「こまえクリニック不妊ルームホームページ」として独立してオープンしたわけです。すると、両方のホームページが非常にすっきりしたかたちになり、そしていろいろ検索エンジンに登録したりしたものですから注目されるようになりました。

 ただ、不妊相談というのは、確かにインターネットに関しても不妊の人もたくさんいらっしゃって関心があるのも事実なんですけれども、コンピューターにアクセスできなかったらこのカウンセリングの存在を知ってもらえないないわけです。だから何らかの方法で、こういうことをやっているんだということを知ってもらう方法はないかと考えているところです。

インターネットのことについて言いますと、ホームページを見て非常にうれしくなったとか、涙が出そうになったというメールを受け取ったりします。先日、ニュージーランドに住んでいる日本人の方から、外国に住んでいてなすすべがなく悩んでいるのだけど、相談にのってほしいというメールを受けたりもしますので、そういった手応えというか、やりがいがあるのも事実ですね。

--:インターネットというのは地域を選びませんものね。

放生:そうですね。

--:私たち患者がお医者様に行くときは、全部裸になるわけですけど、それでも不妊というか子供を持ちたいという相談になると、またもっと違うことになりますね。相談しにくい。それでいて周りじゅうから、いろんな……。

放生:社会的なプレッシャーもあるのです。それはよくありますね。

●不妊相談の方は匿名が多いですね。
 けれど、何度かメールをやり取りしているうちに
 相手も打ち解けてくる

--:不妊相談ではないかもしれないですけど、ホームページのうえで医療相談をというのがありましたけど。

放生:それは内科の相談もたくさんあります。コレステロールが高いという相談もありますし、糖尿病が心配という相談もあります。ホームページは別々になっていますけど、メールアドレスが同じになっていますから、メールボックスにはいろんな相談がプールされるという感じはありますね。

--:それには、先生がメールでお返事を……。

放生:基本的には書いています。ただ、言葉が悪いのですけど、まじめではない相談もあるのです。そういうのには返事は出さないですね。

--:だって先生、無料でしょう。

放生:そうです。メール相談もすべてがいいというわけではありません。匿名の人間に対して回答するということもあるので、例えばの話として、将来的に事件と言うとオーバーですけど訴訟になるということもないではないと思うので、こちらとしてもきちんとした線引きしたいとは思います。

--:基本的には匿名というあれはないわけですよね、本当は……。

放生:不妊の方だと匿名の人が多いですね。やはり明かしたくないという気持ちが相談される方にもあるみたいです。でも何回かやり取りしているうちに、だんだん相手もうち解けてくる、そういうことはありますね。

●婦人科はあるけど不妊科はない?
 セカンドオピニオンが必要なこともあります
カウンセリング

--:先生何か、特にこれをというお話はございますか。

放生:「こまえクリニック」の不妊カウンセリングが、他とどういうふうな違いがあるのか、どういう患者さんに来てほしいのかということに、うちの場合は特色があると思うのです。

みなさんもし子供ができないと婦人科へ行くわけですね。まず、そこに一つ大きな問題があるんです。婦人科と、不妊科なんていないのですけど、不妊科は、別だと考えたほうがいいと僕は思うのです。子供ができないから婦人科へ行って、解決する場合ももちろんあるのですけど、相談にいった先の婦人科の先生がお産のほうが専門だと、不妊症のことをあまり知らないというケースがけっこうあるのです。

実際ここへ相談に来られた方で、子供ができないということで婦人科を受診したわけです。そこの先生に、卵巣の機能が低下していると言われて薬をもらっていたのですけど、1年間通って1回も採血したことがなかったらしいのです。こちらへ来て採血をしてホルモンの値を調べてみると、問題があるのは卵巣ではなくて、もっと上のほうの脳下垂体という所だったのです。その脳下垂体の障害によって下流の方の卵巣の機能が低下していたのです。川の流れに例えると、上流のダムに問題があるのに、下流の方だけ見ていても、原因が見つかってこないわけです。ですから、その患者さんには僕のほうで、別の病院に行きましょうと紹介状を書いて、そちらに移ってもらいました。多分その人はうちへ来なくて、そこの先生の所にずっといた場合より、妊娠する確率はずっと高まると思うのです。

このように、うちのカウンセリングの一つの大きな特徴は、必要な場合、レールのポイントの切り替えを行うというか、そういうことをアドバイスできるという点にあると思います。

--:他に特徴はありますか?

放生:不妊治療を受けておられる方も相談に来られるわけなんですけども、一般に不妊治療医は開業医の先生が非常に多いのです。けれども、開業医の先生の場合、1人でおやりになっていることがほとんどなのです。この場合の問題は、セカンドオピニオンが得られないということです。

例えばA先生の所へ行ったら、A先生の言うことがすべてになってしまうわけです。ひょっとすると他にもっといい方法があるかもしれないし、違った見方があるかもしれない場合に、なかなかそういう視野を患者さんが持つことができない。視野狭窄(きょうさく)になる可能性が強いと思うのです。ですから、そういった人にもセカンドオピニオンとしてアドバイスができるのではないかと思っています。

もう一つ、これも僕は大きな問題点だと思うのですが、不妊治療ということに関して言いますと、最初は「タイミング法」という方法をやるわけですね。それでうまくいかないと、AIHといって人工授精をやります。これは大体5回から多い所は10回やったりします。それも駄目だったら体外受精(IVF)になる。このように、だんだん医療がステップアップしていくわけです。そして、この医療はステップダウンがないのです。例えば体外受精をやったほうがいいと言った医師が、やはりAIHにしましょうと言えないわけです。これまでの経過を見てきているわけですから、もしもステップダウンすることになると自分が前に言ったことは何だったのだという話になります。そういう問題点があるのです。

実際にあったお話なのですけど、ある所に行ったら体外受精も駄目だから、顕微授精という更に上のほうの治療を勧めらたので、もうこれ以上は無理だと思って別の医療機関に移った。そして、そこでは普通の体外受精を勧められて1回で妊娠した。このように、病院を変わることによって結果が違ったということはけっこうあるのです。やはりセカンドオピニオンがないということは、僕は経験者として特に考えるところです。

あと不妊治療をやっている婦人科はどこも混んでいて非常に忙しいのです。よく患者さんの不満で、3時間待って3分どころか1分しか話を聞いてもらえないという問題があるのです。とてもじゃないけどメンタルな部分とかエモーショナルなところに対するフォローがないという問題は大きいのです。ですから、ゆっくり時間を取って話ができるのは役に立っているのではないかと思うわけです。

●不妊治療と一口に言っても内容は非常にモザイク状
 正しい判断をして医療機関にかかるのは簡単なようで難しい
カウンセリング

--:全く素人ですから、先生に言われたことはそのまま信じるしかないわけで、ほかの所に相談するというチャンスもなかなか持てないですね。

放生:しかもこの医療は、ほとんどが保険が効かない自由診療なのです。自由診療というのは、料金設定も全く医師の1人の判断になってしまうわけです。ですから、同じ治療を受けても、医療機関が違うと医療費もかなり違ってきている。お金の問題だけではなくて、もう一つ大きな問題としてあるのは、医療サービスが非常に違うということなのです。僕は経験者だから思うのですが、例えばある医療機関では、お産も不妊治療もやるというドクターだったのだけど、その医院へ行くと狭い待合室の中で妊婦さんも不妊症の方も一緒なわけです。

--:それはちょっと……。

放生:そういうことに対して、そのドクターは不妊の患者さんに対して全然配慮がない。それでは患者さんはいろんなストレスがかかって、ますます不妊症を悪化させるということになりかねないと思う。そうかと思えば一方では、お産はやらず、なおかつ心理療法士的なカウンセラーもいる。あるいは続発性不妊で1人目はできたのだけど2人目ができないという患者さんがいますが、そういう人で非常に困るのは、子供を家に置いておくわけにはいかないですから、小さな子供を連れて行くわけです。そうするとベビーシッターがいたり・・・。不妊治療と一口に言っても内容は非常にモザイク状で、いろいろなドクターが存在しているということだと思うのです。それもやはり感じるところではあります。

--:患者側から言いますと、いい先生に巡り合うのは運みたいなところもある。

放生:それもあります。不妊症に関して言えば、医者選びが結果を左右するということが非常に大きいと思います。最近はインターネットとか不妊症の本もいろいろ出ているのでかなり情報量は多くなってきています。それでも患者さんというのは医療の素人ですから、正確な情報を得て、その中から正しい判断をして医療機関にかかるということは簡単なようでいて難しいところもあります。

--:そういう情報というのがあっても、どこまで信じられるかというのも。

放生:そうですね。取捨選択をどう判断できるかというのは大きいと思うのです。

●不妊治療に関しては私自身の体験を通して
 患者さんと同じ目線の高さで相談に乗りたい
カウンセリング

--:先生の所には、今ほかの所で治療を受けていて、何か疑問があって相談にこられる方は多いのですか?

放生:そういう方が多いですね。先日の方も、人の評判を聞いて不妊治療に通っているのだけれど、あの先生と自分は合わないといわれるわけです。そう本人が感じた場合、まずうまくいかないです。それは別に産婦人科だけでなく、どの科でも言えると思うのですけど。患者さんがこのドクターとは波長が合わないと思ったら、やはり医療というのはうまくいかない。医療は信頼関係がベースになりますから、それがない状態で話は先に進まないと僕は思うのです。そういう人であれば、また別の先生を紹介するということももちろん考えます。

--:不妊相談の場合は、インターネットでご覧になったりして、アポイントを入れますね。その場合は何日の何時というような先生からの……。

放生:予約して時間を設定します。なるべく患者さんの少ない時間を設定したり、あるいは12時半で午前の診療が終わるので、それからあとに設定したり。やはりプライベートなお話なので、その患者さんと話をしているときは、もちろん看護婦さんも医療事務の方もスタッフルームに下がってもらうということで対応しています。

--:あと先生がこれだけは言っておきたいということはありますか。

放生:ぱっとそう言われるとかえってこちらも言葉が思い浮かばないのですけど。不妊相談に関しては、やはり私自身が体験したことを通して、患者さんと目線の高さを同じにして相談に乗りたいと思っています。

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